2-1-2 相続人と財産の確定

相続が発生した場合、どの財産を相続するのか、その財産がいくらになるのか、に目が行きがちですが、それ以前に誰が相続財産を受け取る権利があるのかを確定する必要があります。

「だいたい分かるから、調べなくても大丈夫。」と思っていると、思わぬ事態に陥ってしまう場合があります。

予期しなかったような人が相続人として出てくることも少なくありません

それが早い段階であれば良いのですが、遺産分割協議がまとまった後だと大変な手間が掛かります。

誰が相続人であるかをしっかりと把握することは非常に重要です。

遺言や死因贈与契約がなく、法定相続で相続する場合は、しっかりと相続人を把握しないと、想像もしなかったような人が相続人として出てきて相続財産を取得する可能性があります。

また、どのような財産が相続遺産の対象になるのかをしっかりと把握しましょう。

相続人調査と法定相続

ここでは、相続において最も重要な相続人調査について説明いたします。

誰が相続人なのかを調べるためには、亡くなった方の「戸籍謄本」「除籍謄本」「改製原戸籍」等を出生から死亡まですべて取得します。

この相続人調査・戸籍調査を怠ると、相続手続きが滞るばかりでなく、後々思いもよらない相続人が発覚し遺産分割協議のやり直しやトラブルに発展することもあります。

相続における、相続人調査はとても重要なポイントとなります。

「相続人が誰になるかは、だいたい分かっている」というような場合であっても、必ず戸籍を収集して相続人が誰であるかを客観的な資料をもって証明する必要があります。

法定相続とは

ここでは、相続で最も重要となる法定相続についてご説明します。

法定相続とは、被相続人が遺言を残さずに亡くなった場合、民法により決められた相続人へ決められた相続分が渡ることを言います。

遺言が残されなかった場合は、どんなに個別的な、特別な事情があったとしても、原則、すべてこの法定相続によることになります。

法定相続人

法定相続人とは、被相続人が亡くなったときに、相続する権利がある人をいいます。

この権利は、民法で定められていて、以下の人が法定相続人になることができます。

1. 配偶者(夫からみれば妻、妻からみれば夫)

ただし、婚姻関係のない内縁の妻や、愛人には相続権がありません。

2. 子供(=実子)、養子、内縁の妻や愛人の子供、胎児、あるいは孫、ひ孫

これらの人を直系卑属(ひぞく)といいます。民法では、子供、養子が何人いても、全て法定相続人となります。

しかし養子については、相続税法上では被相続人に子供がいる場合、法定相続人としては1人だけが認められ、子供がいない場合は、2人までが認められます。

簡単にいうと、相続税法上では養子については、1人あるいは2人までしか税金の控除がないということです。

3. 父と母、あるいは、祖父母

直系卑属が誰もいないときに、相続人になることができます。

父と母がいないときは、祖父母が相続人になり、これらの人を直系尊属といいます。

4. 兄弟姉妹、あるいはその子供

被相続人の直系卑属や直系尊属が、誰もいないときにはじめて相続人となることができます。

以上が法定相続人となることができる人です。

法定相続分

「法定相続分」とは、法定相続によって相続人に相続される相続財産の割合をいいます。

法定相続分を知ることは、誰にいくらが相続されるのかを知るひとつの目安となります。

遺言書は、亡くなった方の自由意志を反映させるものですが、後々もめないようにするには、作成時にまず参考にされるべきものが法定相続分なのです。

法定相続人の順位または割合

  1. 子と配偶者 子=二分の一 配偶者=二分の一
  2. 配偶者と直系尊属  配偶者=三分の二 直系尊属=三分の一
  3. 配偶者と兄弟姉妹 配偶者=四分の三 兄弟姉妹=四分の一

相続財産とは

相続財産とは、被相続人が相続開始時点で持っていた財産をいいます。この財産には、現預金や不動産、株式などのプラスの財産のみならず、借金などのマイナスの財産も含まれることになります

また、被相続人が相続開始時点で持っていた財産でも相続財産に含まれないものもあります。

「相続財産については、原則として、「すべて相続するか」「すべて放棄するか」を選択する必要があります。

従いまして、相続が発生して2ヶ月以内の早い時期、どんなに遅くとも3ヶ月以内には相続財産額がプラスなのかマイナスなのかくらいは確認できる調査が必要となります。

「ちゃんと財産は把握できているから」と思っていても、予期せぬ相続財産がでてきて後々もめるというケースが多々あります。

プラスの財産

不動産(土地・建物) 宅地・居宅・農地・店舗・貸地など
不動産上の権利 借地権・地上権・定期借地権など
金融資産 現金・預貯金・有価証券・小切手・株式・国債・社債・債権・貸付金・売掛金・手形債権など
動産 車・家財・骨董品・宝石・貴金属など
その他 株式・ゴルフ会員権・著作権・特許権

マイナスの財産

借金 借入金・買掛金・手形債務・振出小切手など
公租公課 未払の所得税・住民税・固定資産税
保証債務 実際に債務を有していなくても、債務保証したことにより将来発生しうる保証金
その他 未払費用・未払利息・未払の医療費・預かり敷金など

遺産に該当しないもの

  • 財産分与請求権
  • 生活保護受給権
  • 身元保証債務
  • 扶養請求権
  • 受取人指定のある生命保険金
  • 墓地、霊廟、仏壇・仏具、神具など祭祀に関するもの

などがあります。

遺産の評価をどうするか?

民法上の相続財産を引き継ぐ手続きでは、評価方法は具体的に定められておらず、一般的には、時価で換算することになります。

ただ、相続財産の評価では、評価方法により相続税の評価額が変わってきたり、民法と税法上では、相続財産の範囲とその評価方法の取り扱いが異なります

そのため、相続財産評価には専門的な判断が必要となります。

みなし相続財産とは

ここでは、相続税課税の対象となる「みなし相続財産」についてご説明します。

「みなし相続財産」とは、相続人が不動産や預貯金を直接相続していなくても、間接的に財産を取得したときは、実質的に「相続した」とみなされるものをいいます。

ですから、相続した財産と同様に、みなし相続財産には相続税が課税されます