1-1 本サイトの目的

所得税の確定申告を自分でやっている方は非常に多いと思います。

毎年確定申告の時期になりますと、税務署で行われる確定申告の無料相談には長い行列ができますし、提出待ちの列も時期によっては非常に長いものになります。

しかし、相続税の申告を自分でやっている人って、あまり聞いたことがないのではないでしょうか?

確定申告は毎年のことですので、何度もやっているうちに段々勝手がわかってくると思います。

ただ、相続税の申告は滅多に必要になるものではありません。

そもそも相続税がかかる財産を被相続人が持っていない場合には申告が不要ですし、仮に持っていたとしても、一生のうちに相続で財産を受け取るタイミングは通常2~3回程度(両親の相続の際と、配偶者の相続の際)だと思います。

人によっては、祖父母や兄弟の相続で財産を受け取ることもあるでしょうから、多い人は4~5回程度あるかも知れません。

いずれにしても滅多に申告をするものではありませんので、頑張って申告書の作成方法を長時間勉強して何とか自分で申告をしたとしても、次の相続の申告の時には完全に忘れてしまう可能性もあります。また、中途半端に勉強をして作成したとしても、間違っている可能性もあり、その場合には税務調査等で加算税・延滞税を合算した追徴税額を支払わなければならない、といったことにもなりかねません。

万一、税務調査が入るということになった場合には、作成を代行した税理士がいないために税務調査の立会いを誰に依頼して良いかもわからないと思います。

そのため、相続税の申告を自分でやろう、と思う人は数少ないと思われます。

 

相続税の申告でも、相続税の知識のない人が作成することは困難な難しい申告もあれば、手順・注意点・チェックリストさえきちんとおさえれば自分でも十分作成可能な比較的易しい申告もあります。

本サイトでは、難しい申告には対応していません。理由としては、あまり多くない色々なケースを想定して説明を書いていくと、説明が膨大な量になってしまい、比較的易しい申告に必要な最小限の情報が膨大な量の情報に埋もれてしまい、結果的に作成が困難になってしまうため、です。

国税庁から公表されている「相続税の申告のしかた」はまさにその状態になっていまして、1つ1つの論点は丁寧にわかり易く書いていると思いますが、様々なケースを想定して説明がなされているため、非常に膨大な量の説明になっています。

 

本サイトでは次のような相続税の申告を対象に、作成の仕方を説明します。

・亡くなった方の財産のほとんどが、金融資産(現預金、上場株式等)と自宅(土地・建物)の場合

⇒未上場の株式を持っていたり、医療法人の持ち分を持っていたり、投資用不動産を持っていたり、農地を持っていたりする場合は対応しておりません。

・相続税の延納(分割払い)や物納(現預金以外での支払い)をしない方

⇒亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内に相続税の申告と相続税の納付が必要ですが、一定の要件を満たす場合には分割払いや現預金以外の財産現物での支払いが可能です。しかし、本サイトではその場合には対応しておりません。

・財産をどう分けるかが申告期限(亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内)までに確定する場合

⇒遺言書がない場合には、相続人が1人のときはその相続人が全ての財産を取得し、相続人が複数のときは「遺産分割協議」により財産をどう分けるかを相続人間で話し合って決めることになります。その遺産分割協議が申告期限までに確定しない場合には対応しておりません。

また、遺言書がある場合でも遺留分や遺言書の真偽について争いがあるような場合にも、同様に申告期限までに確定していないことになりますので、その場合にも対応しておりません。

・小規模宅地等の特例(自宅)以外の相続税の特例を受けない場合

⇒農地等の納税猶予の特例、非上場株式等の納税猶予の特例、自宅以外の小規模宅地等の特例、その他特例を受ける場合には対応しておりません。

・個人の相続税の申告である場合

⇒人格のない社団等の相続税の申告には対応しておりません。